レニー滝川のシネフィル日記

映画大好き人間による備忘録のようなもの。

『スマホを落としただけなのに』感想とネタバレ。

 なんとなくさらっと観れる邦画が観たくなり、少し前に話題になってた『スマホを落としただけなのに』を鑑賞。

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(C)2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会

続編の公開も決まっているらしいが、別にやらなくてもいいと思う。ってくらいの温度感だが、良い点もあったのでこの映画をさらっと鑑賞したように感想もさらっと書いていきます。

 

スマホを落としただけなのに』あらすじとキャスト

主人公の女性(北川景子)の彼氏(田中圭)がタクシーにスマホを忘れてしまい、個人情報を抜かれた上に北川景子が殺人犯に狙われるという話。本当はもう少し色々あるが、ざっくり言うとこんな感じ。
原作は志駕晃の同名小説。この人はニッポン放送の専務らしいです。全く知らなかった。

小説は未読なので映画版がどこまで原作を踏襲してるのか分からないが、映画を観終わるとまずタイトルからして腑に落ちない。
まず、スマホはタクシーに”忘れた”のであって”落とした”のではない。普通タクシーを降りた後にスマホがないことに気付いたら、隣にいる友人に「あ!タクシーにスマホ”忘れた”かも」と言うはずである。「タクシーに”落とした”」という人もいるかもしれないが、大体の場合は”忘れた”と言うだろう。細かい部分かもしれないが、こういう部分が整理整頓されていないと僕は萎えてしまう。
もう一点はスマホを落としたのが主人公ではなく、その彼氏という点。このタイトルからしたら、「主人公がスマホを落としてそれによって危機に陥ってしまう」というニュアンスがある。だが実際にはスマホを落とした(忘れた)のは彼氏であって、タイトルと乖離があるような気分になってしまう。まあ本当に細かい部分だが、この時点で「作りが雑」と思われてしまっても大いに仕方がない。

そして最も大きく鑑賞中の体力を削られたのが、北川景子の演技。全く嫌いではなくルックスは美しいが、演技に関してはこんなにも下手なのかと思ってしまった。とにかく目の動きや叫び方が大げさで、冷めてしまう。

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(C)2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会

 

それに対して、この映画を何とか鑑賞に堪えうるレベルに引き上げているのが成田凌。「イケメン俳優」にカテゴライズされる彼だが、しっかりと実力派。

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(C)2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会

 

個人情報は大事にね(ネタバレあり)

要は「こんな時代だから個人情報は大事にね。怖いことになるよ」という物語なのだが、登場人物の過去には何かしらのトラウマがあったりもする。
さらっとネタバレするが、成田凌演じる犯人も母親から受けた虐待がトラウマとなり黒髪の女性ばかりを狙う殺人事件を起こしていた。事件を追う若手刑事(千葉雄大)にも同じような過去があり、ここの対比の構図は良かった。同じトラウマを抱える人間でも、正しい道を歩める人間もいるということだ。ここを掘り下げた方が味わい深い映画になったに違いない。

成田凌の狂気に満ちた演技は唯一の見どころと言ってもいい。過剰にも見える演技だが、彼の体格や声が役にフィットしていて現実味を帯びたキャラクターとなっていた。白い女性服を着てナイフを振り回す姿は強烈だった。

最後に一応触れるが、北川景子演じる主人公の過去の秘密については何を伝えたかったのか分からない。何かを示唆しているようで何も示唆していない、ただの仕掛けとしての設定のように思えた。そもそも無理があるしね。

ということで、「頭を空っぽにしながら成田凌のぶっ飛び演技を見たい人」にはおススメの映画。